カクレ滝東尾根〜シゲト山〜三俣山〜宿堂坊山 H17.8.9


先日、中山経由でシゲト山〜黒檜岳を歩きましたが、シゲト山から県境尾根方面へどう歩こうか考えていました。
もう中山からの密藪尾根は歩きたくなかったので、カクレ滝東側の尾根を登り、1928ピーク経由で行くのがシゲト山への最短コースと思え、これを歩くことにしました。
このカクレ滝東尾根は、歩かれた情報が無く、密藪尾根だったら仕方ないと割り切って歩きましたが、予想に反しておとなしい尾根で、シゲト山方面にも三俣山方面にも非常に便利です。
(赤沼駐車場)6:27---(柳沢林道口)7:52---(カクレ滝手前・渡渉地点)8:30---(1598P)9:29---(1928P)10:32/10:37---(シゲト山)11:14/11:20---(1928P)12:35/12:40---(三俣山)14:10/14:20---(宿堂坊山)16:33/16:45---(柳沢川渡渉)18:13---(柳沢林道口)18:40---(赤沼駐車場)20:03


@ 前日、地形図に予定コースを引いていると、1日で歩き切れるか不安を抱いた。
この日は平日なので、赤沼5:30発の低公害バスが使えない。
赤沼〜西ノ湖の往復に4〜5時間見込むと、朝5時歩行開始でも、山中の歩行可能時間は10時間ほど。

そして、いつもの朝寝坊。
赤沼を5時に歩き出す自分を想像して前日眠りについたが、それは夢だけに終わり、赤沼駐車場(@)からの歩行開始は6:30となった。
これでも、いつもの私と比べれば早いほうである。

西ノ湖までずっと車道歩きとなるのは辛いので、小田代原までは自然研究路を歩いても時間に影響は無いだろうと思い、赤沼茶屋前の国道を横切り、歩道に入る。

小田代原への自然研究路は、樹林を縫って行くので明るくはないが、森林浴を満喫できる気持ちの良い道だ。平坦でとても歩き易い。

途中で沢に掛かる木橋を渡り、鉄の回転ゲート(A)を2ヶ所くぐれば千手ヶ浜への舗装車道に出る。
切通しの弓張峠までほぼ平坦な道が続き、大きくカーブして柳沢林道口まで緩やかに下っていく。

カーブして間もなく、白根隠山の裾野を縫うように続く歩道が分岐するのだが、橋が流失したため途中から通行禁止となっている。
単調だが、時間のこともあるのでそのまま車道を歩いた。

時間を気にしながら黙々と歩いていると、どこかの大学の合宿なのか、弓張峠方面に集団が走り去って行った。

途中から、外山沢川が右に左に渡りながら道に沿うようになり、飽き飽きした頃に柳沢林道分岐に到着(B)。こちらに入る。

柳沢林道はさすがに舗装路ではないが、道幅は広い。
アスファルトから開放され、気分も落ち着く。

間もなく、柳沢林道と西ノ湖への林道との分岐となり、西ノ湖方面へ向かう。
地形図の1303m地点で、千手ヶ浜方面の道との分岐点となる。
ここも、西ノ湖方面に吊り橋を渡って進む。

西ヶ浜方面にずっと歩道を進んでいくと、やがて「西ノ湖0.1km」の案内標が立つ地点に着くが、ここは案内通りに左折せず、案内の無い方面に直進する(C)。
これが、カクレ滝へ向かう道であるが、踏跡は明瞭だ。

踏跡を辿ってひたすら西へ向かうと、涸沢を渡る地点で初めて「カクレ滝」の案内標を見る(D)。
この涸沢横断地点が、同時にカクレ滝東尾根への取付き地点となる。
残念ながら、時間の関係でカクレ滝を見物しに行く余裕は無かった。

涸沢を横断し、すぐに左手の平坦な樹林帯に入ると、すぐに尾根にぶつかる。
登り易い場所を選んで、適当に取り付けば良い。
取付いて最初のうちは、急登のシャクナゲ尾根だが、すぐに立派な尾根らしい雰囲気となり、シャクナゲもおとなしくなってくる。

尾根に取り付いてちょうど1時間ほどで、途中の1598ピークに着くが、ピークらしい姿ではなく、いわば稜線上の踊り場のような場所だ。

北東から枝尾根が合流し、進路は南西からほぼ南に変わる。
標高1700mあたりの鞍部では、西ノ湖と中禅寺湖が一望できるビュースポットがある(E)。終始展望が利かないだけに、唯一の展望所である。

尾根筋は、薄いものの踏跡が認められるようになる(F)。
どうやら、獣だけで付いた踏跡ではなさそうだ。

笹が深くなり、急登になってくれば1928ピークは近い。
特に難しい場所も無く、傾斜が緩むと1928ピークに飛び出す。
黒檜岳方面を示す小さな鉄板の案内があるので、すぐに分かる(G)。

さて、ここからシゲト山へ向かって「下る」のだが、なかなか気が進まない。
何しろ、この名も無い山から90mも下るのである。

踏跡の薄い笹尾根を下っていくが、尾根筋は明瞭で迷うところは無い。
途中、歩き辛い箇所は北面を巻いて薄い踏跡が付いている。
所々で、足尾方面のガレた山肌を見渡せる。

南に方向転換するピークにも、黒檜岳方面を示す案内がある。
樹林を抜けて明るい笹原に出ると(H)、少し登って東に方向転換する。
ここは、登りならどうということはないが、標識はないので、下りだと迷いやすい。
方向転換前に朽ちた大木が4本(I)あるので、これを目印にしたい。

東へ申し訳程度に登ると、あっけなくシゲト山に到着。
ここは先日来たばかりなので、一服してすぐに折り返した。

今度は先ほど通った場所を、下りながら西から北へ方向転換するのだが、西へ下りすぎると、地形図に現れない枝尾根が北へ下りており、引き込まれやすい。
先ほどの朽ちた大木を目印にして北へ向かう。
あとは、1928ピークまでは迷うところは無い。
せっかく一旦登った1928ピークは、とても高く聳えて見えた。

ピークまで戻ったら、ようやく三俣山へ踏み出す。
鞍部に下り、名無しピークに登り返すが、これがなかなかキツい。
名無しピークは、山頂にだけシャクナゲが繁茂していた(J)。

名無しピークの西には大岩がある。
妙にシャクナゲが多いので、何となく分かる。
ここは、北を巻いて過ぎる。

この先、樹林帯を北→北西→南西と向きを変えていくのだが、北西から南西に方向転換する地点が分かりにくい。
所々にテープが散在するが、尾根幅が広いので方向感覚を失いやすい。
南西に向かう地点は、明るい南西の笹原へ緩やかに下るように向かうので注意が必要。こんなところで進路を失ったらタダでは済まないだろう。

宿堂坊山への分岐点まで来ると、鉄の打ち抜きで作った案内がある。
南に笹尾根をわずかに登ると、三俣山に着く(K)。

山頂からは、西側の展望があるようだが、霧が発生していて何も見えない。
三角点は、山部さんの山名板の真正面にあり、頭が笹に埋もれている。

元来た道を戻り、宿堂坊山へは案内に従って分岐を北西に入る。
しばらくは急な下りが続き、高度にして約200mを一気に下る。

イヤというほどの目印があり、迷うことは無い。
日光ではお馴染みの四角い目印が中心だが、中にはスプレー缶を潰して打ち付けたものまである。

急坂が終わる頃になると、シャクナゲが目立つようになるが、通行の邪魔になるレベルではない。
三俣山〜宿堂坊山のちょうど中間の最低鞍部には、水場の案内がある(L)が、沢筋の底まで笹の斜面を下りなければならず、水はまだ足りていたので通過した。

水場の先、標高1800m前後のあたりは急登になる。
ここが本日一番キツい場所だった。
このあたりではアブに付きまとわれた。
虫除けネット付きの帽子をかぶっているが、それでも安心して休憩できない。

水場から宿堂坊山までは展望の開ける場所は少なく、ひたすら歩くのみである。
疲れはピークに達し、アブも少なくなったので、時々休みながらの歩きになった。

三俣山から2時間強を要し、ようやく宿堂坊山に到着した。
山頂は霧に煙って展望は無かった。
三角点脇のコメツガの大木に、山名板が4枚縦に連なって並んでいる(M)。

ここからは、あとは下るのみである。
時間が無いので、休みもソコソコに下山開始。

宿堂坊山からは、東尾根を下った。
三角点から東を見ると、広い笹尾根が広がっている(N)。ここを下っていく。
この尾根は、烏ヶ森の住人さんのサイトでの報告を拝見し、私でも歩けそうだと思って選択した。

この尾根は倒木が多いのが難点で、右往左往しながら下ることになる。
大きな枝尾根はないが、地形図には現れない小尾根があって、周囲の状況を見ながら東北東に下っていく。
途中1ヶ所だけ大岩があり、左(北)を巻く。

標高1820m地点で、尾根はわずかに北にズレるが、ここから先は小尾根もなく尾根筋は明瞭。微かに踏跡も確認できる。
それにしても、この尾根は踊り場が少ない。登りに使うにはキツそうだ。

下りに飽き飽きした頃、沢に下り立つ。
ここは水量豊富で、冷水を補給して生き返った。

沢を渡ると踏跡はハッキリしなくなるが、先には柳沢川の明るい岸辺が見えているので、適当に東へ向かう。

柳沢川も水量が多く、降雨後は靴を脱がないと渡渉できない。
対岸には柳沢林道が通っており、ようやく人里近くなった気がした。
すでに18:00を回っており、赤沼までに日没となることは確実。
せめて柳沢林道口で舗装路に合流するまでは持って欲しいと思った。

柳沢林道は、随所で切り出された木材が積み上げられている。
由来不明の鳥居を脇に見て過ぎ、トラックの上物が捨てられた場所を過ぎると、西ノ湖からの道を合わせる。

さらに、通行禁止の遊歩道分岐点を過ぎれば、ようやく千手ヶ浜からの舗装道路に合流した。
すでに18:40。バスなどあろうはずがない。
弓張峠まで日が持ってくれれば儲けモノと割り切り、最後の気力を絞って歩く。

朝は合宿中の学生とすれ違ったこの道も、外山沢川の水音が聞こえるだけだ。
弓張峠の手前で、サーチライト無しでは歩けなくなった。
終日曇りだったので、月明かりも無い。

小田代原の横を通り過ぎるときだけはわずかに明るかったが、あとは暗闇を黙々と歩くだけ。途方も無く長く感じた。

行きに自然研究路から合流した地点まで来たが、さすがにこちらに入る気はしない。
気を紛らわすためにラジオをかけてみたが、雑音ばかりで全然入らない・・・

そうこうしているうちにゲート横を抜け、R121へ。
左折して赤沼茶屋までのわずかな登りが、足に堪えた。
20:00、ようやく帰着。

車道歩きもバカにはできないと再認識した今回の山行であった。
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N


【ルートマップ】






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