菖蒲ヶ浜〜カクレ滝東尾根〜三俣山〜皇海山〜鋸山〜庚申山縦走 H18.7.24-25


日帰りだとコース設定が難しい三俣山〜鋸山の県境尾根は、歩くなら1泊ででも縦走しようと思っていました。
カクレ滝東尾根を使えば、国境平で幕営するちょうど1泊コースとして歩くことも可能と思います。
皇海山の登りはキツかった!!
◎7/24
(菖蒲ヶ浜)3:43---(千手ヶ浜)4:55/5:03---(西ヶ浜入口)5:45---(カクレ滝東尾根取付き)6:04---(1928P)8:39/8:43---(三俣山)10:22/10:30---(1847P)11:07---(1736P)12:32---(国境平)13:30/13:40---(皇海山)16:08/16:20---(鋸山)18:05/18:08---(蔵王岳東鞍部テント泊)18:52
◎7/25
(テント撤収)5:05---(薬師岳)5:40---(駒掛山)6:29---(庚申山)7:24/7:29---(庚申山荘)9:05/9:50---(一の鳥居)10:58---(かじか荘)12:02==〔タクシー〕==(菖蒲ヶ浜)12:56


@ この2日間は会社の変則的なカレンダーで平日だったが連休。
明けない梅雨が過ぎるのを待つこともできず、悪天候は覚悟の上で出かけることにした。

平日は、赤沼5:30発の低公害バスがないので、西ノ湖へ出るには菖蒲ヶ浜から中禅寺湖沿いを歩くしかない。
少しでも時間を稼ぐために、まだ暗いうちに歩行開始した。

中禅寺湖の遊歩道は多少のアップダウンはあるが、ヘッドランプで十分歩ける。
湖面が見えない湖畔というのは薄気味悪いものだが、黙々と歩いた。

千手ヶ浜に着いた頃には薄明るくなってきて、幻想的な夜明けを見ることができた(@)が、小雨はなかなかやまない。

千手ヶ浜からは、舗装された市道1002号を戻るように歩く。
しばらく歩いて、新外山沢橋を渡る小道に入り、西ノ湖へ向かう。
西ノ湖林道と合流し、吊り橋で柳沢川を渡る。

左手に西ノ湖を見て、西ヶ浜入口の分岐を見送り、踏跡を直進してひたすら西へ向かうと、「カクレ滝」の道標を見る(A)。
昨年夏に三俣山〜宿堂坊山を歩いたときに通ったときには、このすぐ先にある沢は涸沢だったのだが、雨量が豊富なせいか今回は水量豊富な沢になっていた。

「カクレ滝」の道標の上には四角マークがあるが、沢を渡って少し進むとすぐにもうひとつ四角マークがあり、ここから東の草叢へ入る。
するとすぐにカクレ滝東尾根の南端にぶつかり、ここが取付き地点となる。

昨夏と同様、最初は雰囲気の悪い、細くて急なシャクナゲ尾根。
天気が悪いので足元も滑る。

南へグングン高度を上げ、1598ピークへ達するが、ピークというほどの場所でもなく、単なるコブという感じ。
南西への急登となって傾斜が緩むと、北西から尾根が合流する。
ここで急に踏跡は明瞭になって、ややヤブっぽい尾根を一歩一歩登る。
昨年より多少ヤブが濃くなった気がするが、特に問題になるような場所は無い。

1700mの鞍部からは西ノ湖や中禅寺湖を望める、この尾根唯一の展望スポットなのだが、降り続く雨で視界は無かった。

ちょっとキツい傾斜を登り切ると、1928ピークに達した(B)。
やはり天候の影響は大きく、昨夏より30分ほど余計に時間がかかった。
三俣山には10時には到着するつもりだったが、厳しくなった。

笹の深い西への尾根に入る。
シャクナゲの繁茂した1980m級の名無しピークを過ぎ、大岩を巻いて過ぎると、尾根は樹林帯の中を北→北西→南西と向きを変えていく。
尾根幅が広いのでコンパスやテープをこまめにチェックして進む。

宿堂坊山方面への分岐の手前は倒木が多く、テープも少なくなるので、一瞬ルートを誤ったかと不安になるかもしれないが、方向さえ間違っていなければ大丈夫。

見覚えのある、鉄板をドット状に叩いた文字の道標が現れ、宿堂坊山方面への分岐点に出て、南へひと登りで三俣山に着く(C)。

山頂は、昨年よりやはり笹が深いような気がする。
三角点は、山部さんの山名板の真正面にあるのだが、それを知らないと見つけ辛くなっている。
今回も展望を確認できないのは残念だが、仕方がない。

三俣山から南の県境尾根は初めて歩く。
1928ピークから三俣山までは昨夏並みの時間で歩いたが、それでもすでに10:30、庚申山荘に本日中というのはどう考えても無理となってきた。

三俣山から急坂を一気に150m下る。
わずかに登り返して1847ピークだが、特に何も無い。
ここからまた南西へ100mほど一気に下る。

踏跡は笹に隠されて薄いが、マークが多く、迷うことは無い。
天気が良ければ気持ちの良い尾根と思うが、周囲の様子は窺い知れず、トボトボと歩を進めるのみである。

1828ピークは西を巻く。
このあたりの岩峰は釜五峰といわれる断崖続きの尾根なのだが、周囲は真っ白で分からないので、怖いとも何とも感じることができない。

1786ピークからの下りは所々西を巻くように進み、下り切った鞍部がカモシカ平となる(D)。
白と茶色の混じった砂地で、水溜りでカモシカが水呑みでもしているかと思ったが、何もいなかった。

南西に100mほど登り返して1695ピークとなる。ここは日向山と言われているようだ。
登った分また100mほど下って、鞍部が国境平となる(E)。
笹原の木に水場の標識がいくつも打ち付けられていた。

国境平から皇海山の登りが始まるまでは、なだらかな笹原歩きとなる(F)。
相変わらず雨が降っており視界は悪い。
このあたりで歩行時間が10時間を超え、皇海山への長い登りにかかるのは気が重い。

とにかく長くて、とにかく急な登りにかかる。
三俣山から400m近く下ったのに、500m以上登り返すのだから楽ではないのだが、途中で平坦な場所はほとんどないのが辛い。

南西から南へ向きを変えるはずなのだが、いつになっても方向が変わらない。
庚申山荘はとっくに諦めていたものの、15時に皇海山へ着ければ庚申山に近いところまで行けるかもしれないと思っていたのだが、考えが甘かった。

いつ終わるか分からない急坂を、休み休み登る。
足が痛くなってくる。日光のどの山に登ったときも、ここまでキツい登りはなかった。

ようやく南に方向を変えるが、まだまだ急登は続く。
16時を過ぎても山頂に着けなかったのにはショックを受けた。
この山の困難さを思い知った。

この天候と時間では、山頂(G)に立ったときにはさすがに誰もいなかった。
立派な標柱が立っているが、比較的狭い山頂だ。
周囲は真っ白で、展望が良いのかどうかも分からずじまい。

皇海山からの下りは、最初のうちは緩やかだが、やがて急になって100mほど一気に下り、再び緩やかになる。
ただ、北からの500mの登りと比べればかなり楽と思える。

下り切った鞍部は不動沢のコルで、群馬県利根村側(皇海橋)への道が分岐する。
ここから登るのが一番楽だろう。

皇海山の登りで力を使い果たしたので、鋸山への100mの登り返しが非常にキツい。
山頂直下ではロープをよじ登り、18時過ぎに鋸山山頂に到着した(H)。
ここからの眺めは素晴らしいと聞いていたが、残念ながら展望はゼロ。

ここで県境尾根から離れ、鋸十一峰への岩尾根に入る。
聞いていた通りの絶壁尾根で気が抜けない。
剣の山は巻き道からひと登りしたところにあるが、日没まで時間が無いので素通りした。

鉄梯子を登り、次の熊野岳に到着。狭くて長居するところではない。
少し先に進んでみたが、断崖で行き止まりになる。

少し戻って巻いて進み、ロープをよじ登って蔵王岳に到着した。
そろそろ暗くなってきた。
巻くようにくねって下ると、平坦な場所に出た。
今夜はここで幕営することにした。
幸運にも雨は上がり、すぐにツェルトを張れた。間もなく、暗くなった。

随分歩いたが、まだ夜7時。
水が残り2Lしかないので、コンロでささやかな夕食後、すぐに眠った。

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静かな夜が過ぎた。途中で1度2度起きたが、断続的に長く眠った感じだった。
結露で湿っぽくて気持ち悪いが仕方がない。

相変わらずの曇り空だが、昨日よりは少し明るい気がした。
5時に再出発。

白山まで来ると岩峰の印象は薄れ、笹尾根となってくる。
薬師岳(I)・地蔵岳・渓雲山・・・アップダウンを繰り返していく。
笹が深くて踏跡は不明瞭、マークも所々少ないが、方角さえ合っていれば大丈夫。

1808ピーク(駒掛山)は地形図でも目立つピークだが、静かな、狭い山頂だ(J)。
鞍部から登り返して御岳山、あとは東へ緩やかに登っていけば庚申山西方の展望スポットに出るが、この日も展望は期待できなかった。

庚申山は、5月に松木川を回りこむように歩いて来たときはまだ残雪が多く残っていたが、今はさすがにない。

庚申山からの下りは、最初は平坦だが、すぐに鎖・梯子の連続となる。
時々振り返ると、見たこともないような垂直な岩壁に圧倒される。
雨上がりで滑りやすい足元に気をつけながら下っていくと、一の門の手前でお山巡りコースとの分岐点に出た。立派な道標がある。
今回は、さすがにお山巡りコースに踏み入れる気力は無い。

さらに険しい道をひたすら下っていくと、沢が現れ、鳥居のある旧庚申山荘の広場に出る。
ここを六林班峠方面へ少しだけ進むと、庚申山荘に出る(K)。

平日なのでさすがに誰もいない。管理人は常駐しておらず、常時開放されている。
内部は綺麗に管理されており、荷物を置いて朝食を作り直した。
炊事室は蛇口が4ヶ所あり、寝室は2階まであって(L)布団の量も豊富。
あまり綺麗な布団ではないが、山中ではとても有り難い。
宿泊は2,000円、休憩だけなら300円だが、残念ながら眠っている暇が無かった。
500円玉しかなかったのでそのまま料金入れに投函して1時間弱で歩行再開した。

猿田彦神社跡、夫婦蛙石を経て一の鳥居までは、沢筋を行く暗い道が続く。
一の鳥居(M)からは未舗装の車道となるが、関係車両しか進入できないので車とすれ違うことはなかった。

やっと下山したという感じで、急に足が重くなる。
途中から舗装道路となり、一の鳥居から1時間ほどで一般車通行止めのゲートを越え、かじか荘に着いた。
最後の舗装路歩きは、本当に長い。

携帯電話はまだ圏外なので、玄関にて公衆電話を借り、タクシーを呼んだ。
入浴だけの利用もできるが、1泊分以上の着替えは持ち合わせていなかった。

通洞へ出たら日光方面へ行くバスに乗りたかったが、時間が合わず、結局タクシーで菖蒲ヶ浜まで戻った。

今回はもう当分歩きたくないと思えるくらい歩くことができ、とても満足した山行だった。
天気は悪かったが、涼しいのが救いだった。
鋸十一峰は、もう一度改めて歩いてみたいと思う。

A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M


【ルートマップ】








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