大岳〜錫ヶ岳〜前白根山 H17.8.27


西ノ湖入口の柳沢林道から大岳を経て白錫尾根へ至る長い尾根は以前から歩いてみたいと考えていましたが、白錫尾根をどちらの方面へ進むかで迷っていました。
今回、思い切って錫ヶ岳をピストンし、湯元へ抜けるルートで歩いてみました。なかなか良い尾根でしたが、時間が足りず、湯元への急坂をサーチライトで下ることに・・・ 錫ヶ岳の奥深さを満喫した山行になりました。
(赤沼)5:30---(西ノ湖入口)5:50---(1502P)6:37/6:50---(大岳)8:44/9:00---(1919P)10:02---(白錫尾根)12:07---(水場)12:35/12:40---
(錫ヶ岳)14:17/14:30---(白檜岳)16:30---(白根隠山)16:58/17:03---(地震観測所)17:31---(前白根山)17:50/17:57---(湯元)20:05


@ 今回の山行は、6月に温泉ヶ岳〜高薙山〜於呂倶羅山を周回したときに匹敵する厳しい山行になると思っていたが、どうしても日帰りしたかった。

G・W〜11月の週末は、赤沼からの低公害バス(@)が早朝運行する。
赤沼4:00発から30分おきに運行しているが、千手ヶ浜まで行くのは5:30発から。
小田代原は、三脚を構えた人達で既に一杯だった。何と早いことか。

バスを西ノ湖入口で下り、舗装路と分かれて柳沢林道に入る。
10分も歩けば、西ノ湖方面との分岐点に出る(A)。
ここには、西ノ湖まで0.9kmの案内標がある。
ここが、大岳への取付地になる。
よく見ると古い赤テープがぶら下がっているが、テープ類は気にすることは無いので、適当に取り付く。

やや急な斜面を登っていくが、ヤブはないので歩き易い。
ただ、1502ピークまで、展望は無い。

傾斜が緩やかになると、急に広い台地状の場所に出る。
ここで北西から北に向きを変えて少し進むと、三角点のある1502ピークである(B)が、残念ながら、ただ三角点があるだけで、標識類は何も無く、展望も無い。
周囲が広いだけに、妙に寂しいところだ。
一服して、先を急ぐ。

もうしばらくは、展望も少なく、黙々と歩く尾根歩きとなる。
1577ピークは特に何も無いピークで、1741ピークへの急登にかかる。

ピークの直下は、シャクナゲが煩い。
1741ピークの先の下りも、密な樹林帯で枝が煩い。
この尾根には総じてテープ類は見当たらないが、下り切った鞍部には、糸くずのようになった青テープがあった。
ここは一瞬南の展望が開けるが、本当に一瞬である。

大岳の北ピークはヤブに覆われており、ここは西にショートカットして大岳に向かう。
大岳の手前も、ヤブが煩いが、ここまでに遭遇するヤブは、どれも巻いたり漕いだりで突破できるので、問題はない。

大岳は、南北に長いピークである(C)。
横に伸びた大木に隠れるように、三角点があった。
とても静かな山頂である。
山名板が何も見当たらないので周囲を見回してみると、「栃木の山紀行」山名板が折れた木と一緒に落ちていたので、三角点の横に戻して添えておいた。

大岳から戻り、北ピークに登ってみたが、ひどいヤブでひと苦労する。
ここで思わぬ時間を食ってしまった。
1741ピークから登ってくるときは、やはり西にショートカットするのが正解。

北ピークから北西に進み、白錫尾根に向かう。
ヤブからはすぐに開放され、快適な尾根道となる。

大岳北ピーク先の鞍部から登り返すと1919ピークに達するが、特に何も無いのでそのまま進む。
わずかに下って登り返すようになると、再びシャクナゲのヤブが煩くなってくるが、突破できないレベルのものではないので、大丈夫。

標高2050m付近に達すると、またもヤブとなる。
適当に尾根筋から外れて巻いたり、丹念に掻き分けたりで焦らず進む。

ヤブがおとなしくなって、一息ついて振り返ると中禅寺湖方面の展望が素晴らしい(D)。

周囲は笹原となってくるが、傾斜は急になり、苦しい登りとなる。
このあたりは、休み休みでの歩きであった。
尾根は徐々に幅広くなり、北から北西に向きを変える地点では、白檜岳が丸い大きな山容を見せていた。

延々と登りなので、すぐそこに見える白錫尾根に、なかなか到達しない。
疲労がかなり蓄積してきているのが自覚できた。

白檜岳南西の小ピークで、ようやく白錫尾根に達した。
ここには11時に着くつもりだったが、1時間以上遅れてしまった。

一瞬、錫はやめようかと思ったが、ここまできて諦めてはもったいなかった。
日没→ビバークとなっても、錫には行こうと決めた。

休んでばかりいてはいられないので、西に向かう。
徐々に下っていくと笹原地帯は終わり、樹林帯となる。
踏跡は薄いが、マーキングが多いのでまず迷うことは無い。

2296ピークは特に印象も無く過ぎ、ここで西から南西に方向を変える。
ずっと、下りが続く。帰りに登るのは難儀しそうだと思った。
シャクナゲとコメツガと笹の混合藪が濃いところもあるが、踏跡を見失うほどでもないので、丹念に歩けば問題はない。

標高2170m地点は、錫ヶ岳への登りが始まる鞍部であり、水場の案内標がある。
もう錫に登ってきたのか、5人のパーティーが昼食中だった。

水場は1分で行けるとあるが(E)、実際は3分くらいかかる。
水場は細い沢で、水量は多くないが、ペットボトルを斜めにして水を満タンにした。

水場から樹林帯を登っていき、小ピークを越えていくと、明るい笹原となる。
踏跡は不明瞭だが、特に踏跡に拘る必要はない。

ここからの錫への登りはなかなかキツいので、マイペースで行くことだけを考えて、一歩一歩ゆっくり登る。

一気に200m近く高度を上げ、山頂手前の平坦な場所に出る。
ここで、西から南西に向きを変えて前方に見えるコブに向かえば、間もなく錫ヶ岳の山頂である。

山頂は広くはない。展望もほとんどないが、とても静かな山頂だ(F)。
御料局の三角点と、2枚の山名板がある。
古い鉄板の山名板もあったが、亀裂が入って脱落していた。

錫の山頂の味をもっとかみしめていたいところだが、すでに14:30。
先が心配だ。
白錫尾根に出てからここまで2時間以上要した。
ということは、多少急いでも白檜岳には16:30、前白根山で日没が濃厚。
せめて、外山鞍部で進路を北に取るまでは明るいうちに行きたい。

先を急いだ。
キツかった錫への登りも、下ればアッという間である。
行きに寄った水場は寄らずに過ぎる。
所々、踏跡が薄かったりヤブが深いところはあるが、進路を失うレベルでもない。
行きに通っているだけに、速度を上げて北東に向かっていく。

帰りは登りは断続的なので、さほどキツくはなく、行きより20分ほど早く大岳尾根との合流点に戻った。

休む間もなく白檜岳へ。
尾根は、一面の笹原となる(G)。
霧がたち込めてきた。
笹の中に、幾条もの薄い踏跡がついているが、尾根筋から外れていくものも見かけられた。獣道が混じっているようだ。

適当に踏跡を利用し、緩やかで長く感じる登りを経て、白檜岳に達した(H)。
山頂というよりは、広大な広場である。
また、晴れてきた。

見通しの良い尾根を緩やかに下る。
なだらかだけどガレた白根隠山がよく見える(I)。
白根山の大きな山容も、一望できる。

岩越え地点は進路が分かりづらいが、最上部を行かずに、西側へやや巻いて進んでいく。
白根隠山の南のガレ場に取り付くと、その真上が山頂と思うかもしれないが、実際の山頂はもう少し北東の奥である。

白根隠山の山頂は、木は存在しない。
ケルンの石に挟まれた小さな山名板があるだけだが、とても広い。
好天で風がなければ、弁当を広げたくなる場所だ。
眼前の白根山が、さらに大きく見える。

ここで、17:00を回ってしまった。
前白根山へ急ぐ。
2385ピークを過ぎると、前白根山の山容がハッキリ見渡せる。

ボロボロの地震観測所の周辺は、一面の花畑(J)。
とても綺麗で、観測所のボロさが際立って見える。

避難小屋への道を西に分け、その後五色沼への道を西に分ける(K)。
このあたりの山道はとても明瞭。

前白根山の砕石の南西斜面をジグザグに登る。
心なしか、周囲が暗くなってきたようだ。風も出てきた。

ケルンの中央に山名板のある前白根山山頂は、五色山方面への道を分ける(L)。
間もなく18:00。休んでいる暇はない。
外山方面の尾根道に入る。
風は強くなってきた。ポツポツと、雨も降ってきた。

どうにか明るいうちに、天狗平までは進んでおきたいと思った。
尾根筋では風が強くて、ビバークのしようもない。
2325ピークの北側から急坂を下り、天狗平に着く(M)。

ここでこの日はやめようか迷っていると、雨は強くなってきた。
考えた末に、先に進めるだけ進むことにした。
この時点で、湯元19:10発の最終バスはあきらめた。
白根沢の谷筋を行く旧道との分岐を過ぎ、外山手前の鞍部で進路は北に変わり、急な下りとなる。

北へ10分ほど下ったところで、サーチライトを装着しての下りとなった。
ここの急坂のレベルは聞いていたので、慎重に進む。

極度にペースが落ちる。
踏跡と、テープや木へ打ち付けられたマークを確認しながらの歩行となる。

幸いにも明瞭な登山道だったので、1時間ほど下りると東方に湯元温泉の灯りが視界に入ってきた。
またしばらく樹林帯の急下りが続き、フェンス沿いの笹道になると、フェンスの隙間をくぐって花畑?らしき道を行くようになる。
左右をライトで照らすと、太いポールらしきものが見える。
リフトの支柱であることは間違いなかった。

やがて道は砂利の車道へと変わり、ダラダラと下っていく。
日光グランドホテル前で舗装路となり、ようやく下山した。
20:00を回っていた。

覚悟を決めて赤沼へ歩くことにした。
小雨の中をトボトボ歩いていると、親切な方が車を停め、「どこまでいくのですか?」と声をかけてくれた。
お言葉に甘えて乗せて頂いた。
話をうかがうと、白根山へ登ってきた帰りだという。
私は錫ヶ岳へ行ってきたと話したが、錫ヶ岳のことはご存知ないようであった。

今回の山行は、少し無理をした。
白根山周辺は、時間に余裕をもって、今度は明るいうちにゆっくり歩き直したいと思った。
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M


【ルートマップ】 






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