高平山〜火戸尻山縦走 H17.2.13


火戸尻山は、鳴虫山から南に連なる稜線上にあり、鳴虫山から縦走する人が多いようです。
しかし、高平山は、鳴虫山〜火戸尻山の稜線からは東方に外れるため訪れる人は少なく、静かな山歩きを楽しめそうでした。
そこで、高平山から尾根伝いに進んで南北尾根と合流し、火戸尻山へ至るルートで歩くことにしました。
普通、この近辺に来れば、鳴虫山を無視することはまず少ないと思うので、物好きルートといえるかもしれません。
大谷川畔駐車場6:30---JR日光駅横6:35---取付き地7:50---高平山8:30/8:40---892ピーク10:10---791ピーク11:10---996ピーク12:00---火戸尻山13:40/13:50---小来川水草沢分岐14:05---林道出合14:45


@ 日光駅近辺に車を停める場合、駅の北側を通る大谷川沿いの通りに、無料駐車場がある。
東武線のガードをくぐり、心もとない橋でJR日光線を越え、日光駅の南側に出たら県道14号を南に進む(@)。
冬の早朝の車道は、本当に寒々とする。

日光ICを見下ろす形で宇都宮道路を越え、日光インターCCを過ぎて大きくカーブ
しながら下ると、小さな橋を渡って山へ入る林道があるので、こちらに入る(A)。
橋を渡り、左へ進む。

林道は雪で覆われ、踏み固められた轍は凍結していて歩きにくい。
山裾に沿って大きく右カーブしていくが、何分か歩くとY字の分岐に出合う。
左へ進む道はあまり使われていないようで入口にゲートがあるが、左へ入る。

右に川を見ながら状態の悪い道を進むと、川から少し離れて登り気味になったところで逆Y字路になる。
ここを大きく左折すると、高平山の山裾を進むようになる。

相変わらず、道の状態は良くない。雪が一杯で、踏み抜きに難儀しながら歩く。
それ以上に困ったのは、似たような山の裾野が続き、地形図と睨めっこしていても今どこを歩いているのか分からなくなることだった。

どこから取り付こうかと考えながら歩いたが、高平山のほぼ真北の尾根が陽射しも良く、ここから登ることにした。
この取付き地点(B)は、路肩に車を2〜3台停めておけるスペースがあるのと、良く見ると赤テープがあるのが目印になる。

尾根は展望は利かないが明るく、急勾配ではないが緩やかでもないといった勾配で延々登っていく。

徐々に傾斜はキツくなり、登り切ると高平山山頂から北西に延びる尾根に出た。
地形図を見る限りでは、この北西尾根のほうが、幾分楽に登ってこられるかもしれない。

南東に少し進んで高平山山頂に到達(C)。
展望は無いが、平坦で丸い山頂だ。
まだ雪が深く、周囲を探索するにも歩き回るのが疲れる。

ひと休みしたら、南へ進む。
ここから996ピークまでは、要所要所でルート確認が必要になる。

高平山から少しの間は快適だが、すぐに痩せたヤブ尾根となる。
夏場はここを辿るのはかなり大変だろうと思う。

ヤブはある程度雪庇が倒してくれてはいるが、雪量の多い痩せ尾根の雪庇なので、結局は雪の上を歩けない(D)。
わずか南面をヤブを縫いながら歩く。

854ピークは特に何も無いが、少し下ったところに屋根が半分欠けた石祠がある(E)。

石祠から先の道は、単調ではあるが歩き易い美しい木立の中となる。
雪も歩くのに苦労する量ではなくなり、快調に歩を進めることができた。

地形図「今市」の西端のピークからの下り口がやや分かり辛いかもしれないが、今にも崩れてなくなりそうなビニール紐と、木に白いマーキングがあった(F)ので、迷うことは無かった。

996ピークへ向かう稜線と、小来川新谷方面へ続く稜線との分岐点にには、木の陰に「木原造園」と書かれた黒い標柱があるので、これを見逃さないようにしたい。

ただ、ここは、気をつけて歩いていれば間違うことは無いはずだ。

892ピークは、雪に埋もれていた。
ここにも「木原造園」の標柱があった(G)。

892ピークを過ぎると大きな岩があり、ここは左を巻いて行く。
この大岩付近を含め、892ピークからの下りには境界標が異常に多い。

雪は陽射しの届く場所では消えて、美しい木立の中の道になるが、陽射しの届かない場所ではまだ多く残雪があった。
時折、樹林の切れ間から鳴虫山の頂が望めた。

791ピークまで来ると、伐採地となって視界が広がる。
この辺りは尾根沿いにネットが張り巡らされていた。

791ピークの鞍部からは、996ピークまで延々と続く登りとなる。
40分ほど延々と登り、996ピーク直下では積雪も手伝って息も絶え絶えの急登に喘ぐ。

その割には、996ピークはあまりに何も無いピークであった。
地形図の通り、丸くて広い、樹林の中の暗いピークだった(H)。
積雪は30cm程度あり、広いピークを徘徊していると体力を消耗しそうだったので、そそくさと歩を先に進めた。

本来はここまで来たら鳴虫山へ向かうところだが、南に長く伸びる尾根を火戸尻山へ向かう。
尾根の西面はまだ背の低い植林帯でネットが張られており(I)、午後の陽射しで明るい道だった。
積雪は多く、アイゼンなど意味が無い感じで、ワカンを付けようかと思ったが、面倒なのでズボズボとそのまま歩いた。

996ピークからは、鳴虫山から来た一団と思える大量の足跡があり、この上を歩くと幾らか楽だった。
このあたりの木は枝打ちされて間もないのか、刈られた枝が木に括りつけられていた。

本来の道はネット沿いにゆるやかに南進するのだが、一団の踏み跡は何故か東沢の上流に落ち込む小尾根方面に進んでいたので、仕方なく踏み跡を離れて再びズボズボ道を歩いた。
この小尾根を下れば奥深い谷底に至るだけで、進む意味がないハズ。一団は道を誤ったのではないだろうか?
そんな心配と、雪道を難儀しながら歩く面倒さが交錯しながら歩を進めた。

踏み抜きに苦しめられながらの歩きになった。
996ピークを鞍部まで下ると、7〜8人の団体が昼食中であった。
挨拶すると、「私達の足跡に引きずられませんでしたか?」と話しかけられた。

話によると、東沢への小尾根に引き込まれて20分も下ったところで間違いに気づいて登り返して来た・・・とのことだった。

団体さんとは一声交わして横を通り過ぎると、いつしか尾根は普通に痩せてきたが、ヤブが思いのほかうるさかった。

随想舎刊の「栃木の山140」によると、919ピークは西を巻いて行くと記載されている。
前日の予定では、919ピークも頂まで行ってみるつもりだったが、何しろ踏み抜きがひどく、その余裕は無かった。

919ピークから南はずっと平坦で、尾根らしい姿ではなくなり、平坦な樹林風景が広がった。
やがて尾根は細くなって下り道になるので、平原でも南に進んでいれば迷うことはないが、踏み抜きを少しでも避けるために日陰を選んで歩いた。

919ピークからの下りが急になる地点では、気をつけて歩いていれば間違うことは無いが、東沢へ下る尾根に迷い込まないよう注意したい。

鞍部からは登り返しの急坂になるが、それも長くは無い。
ダラダラとした登りになると、再びヤブがうるさくなる。

火戸尻山山頂(J)は、緩やかな登り道の末に辿り着く。
丸く狭く、山頂と言えるスペースは恐らく996ピークの1/10もない感じ。 三角点が雪の中から頭を覗かせていた。

ここで遅い昼食にして、しばし休憩していると、何と先ほど通り過ぎてきた団体が追いついて来た。
私は踏み抜きに悩まされながらもかなり速く歩いてきたつもりだったし、ルートを間違えるような団体がこんなに速く来るとは思っていなかったので驚いた。

団体が全員到着すると同時に先に進もうとしたが、思った通り「シャッターお願いします・・・」と声を掛けられた。
さすがに「先を急ぎますので」とは言えず、お手伝いして、再び別れた。

実は、このまま尾根の南端となる小来川水草沢まで歩きたかったのだが、踏み抜きにズボズボになって歩いたせいで思いのほか時間を要し、歩き通すには時間が足りないと感じていた。

日光駅に車を取りに帰るにはバスに乗らなければならないが、このままだと途中で少しでも迷うことがあれば終バスを逃す可能性があった。
里山尾根の下りは迷いやすく、焦りは禁物。
となれば、エスケープとして考えていた赤井原林道から新谷に降りるルートに変更するしかなかった。

この下山ルートは、さっきの団体も辿ると思われたので、先を急いだ。
水草沢との分岐点には、矢印だけの看板が打ち付けられていた(K)
矢印だけでは不親切なので、こちらは新谷、こちらは水草沢と、手持ちのボールペンで書き足してみた(もう消えてしまったかも)。

ここから先は、ただただ下るのみ。雪は完全に消え、アイゼンも外した。
尾根は思ったより広く、下りの途中で道がなくなるかのような急傾斜の場所もあるが、右寄りにルートを取っていれば下れることが分かる。

下り切って林道に降り立った場所には、保安林の看板と、奥の木に赤テープがあった(L)。こちらを登りにするときは参考にされたい。

林道を下る途中で、2人組のハンターに出会った。
「こんなところで何してんの?」と聞かれた。

地元の人なら、火戸尻山から下りてきたとひと目で分かるはずだが、説明しても山名も知らないようだった。地元のハンターではないのだろう。

林道は、左から支線と合流し、その先で東沢を渡って赤井原林道本線に合流する。
それにしても、この林道歩きは長い。車もよく通っているようで、ヤブに車が傷つけられそうな場所も無く、延々と続いている。

赤井原林道の看板を過ぎると、赤井原の集落も近いが、新谷バス停まではまだだいぶある。
黙々と歩いていると、後ろから2台の車が来て、私の横に停まった。中を見ると、先ほどのハンターだった。
「乗せてってあげるよ」との有難いお言葉。

「どこまで行くの?」と聞かれ、さすがに「日光駅まで」とは言えなかったが、バスの時刻まで時間があったので、小来川の黒川神社まで乗せてもらった。

話を聞いたら、宇都宮市内から時々来ているとのことだった。宇都宮の人なら、山登りが趣味でない限り、火戸尻山の名は知らないだろう。

バスに乗ると、新谷からあの団体とまたまた一緒になった。お互い、笑うしかなかった。

次回は、この日歩けなかった火戸尻山の南尾根を歩いてみたいと思う。
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L


【ルートマップ】 






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